というわけで

フォーラの森砦V3〈上〉―セブン=フォートレスリプレイ (ファミ通文庫)
 他にも色々あるが、まずはこれ。まぁ発売が一番新しいから、取っ掛かりという事で。ちなみに下巻も同時発売されています。
 この本を紹介する前に、もちっとリプレイについて語る。リプレイというか、TRPGの醍醐味といったら、とにもかくにも「全員が参加して物語を作る」ことに集約されると思うし、それは例えどれだけ完成されたシナリオであろうと(そして、ある程度分岐/変化しようと)、結局は製作者の用意したストーリーを辿るだけのコンピューターゲーム/漫画/小説/映画/etcとは一線を画すまったく別の面白さがあると思う。
 古くは名前だけなら聞いた事もある人は多いであろう「ロードス島戦記」から始まり(……たぶん)、それに続いて様々に発表されてきたリプレイだが、私が惹かれてきたのは、いつもこの「全員が参加して物語を作る」部分だった。
 さて、前置きが長くなりましたがこの本は……というか、この作者の「菊池たけし」という人が、「全員が参加して物語を作る」という面において、ズバ抜けて面白いリプレイを書く人なのです!
 何がすごいってこの人……参加者がしゃれでポロッと言ったボケを、その勢いで突発的に付与された設定を、サイコロというランダムな方法で決定された結果を……きっちり伏線に消化して物語に織り込んでくる、ものすごい豪腕の人なのです。
 別の本のあとがきで、かの人はこんな事をいっています。
「『面白い事は、すべてに優先される』これがポリシーです(笑)(中略)その瞬間瞬間で生まれた"面白さ"を、"予定とちがうから"……みたいな理由で否定するのは、まさに愚の骨頂」
 そしてそのポリシー通りに、突然変異的に生まれた"面白さ"を次々飲み込んでストーリーを膨らませていく……しかも、このTRPGというのは上でも書いたように即興劇、したがってその瞬間にすばやく対応する高いアドリブ能力が要求されるわけで。その懐の広さは、ただただ歓心するばかり。*1
 予想以上に長々書きましたが、要するに今回はこの本ってよりもこの「菊池たけし」って人を紹介したかったわけで、みなさんヒマなときにでも手にとっていただけたらと。
 ……えー、ここまで結構真面目っぽく書いてきましたが……ぶっちゃけ、この「菊池たけし」がプレイヤーが勝手に張った伏線に頭抱えて「どーすんだよこれー!!」と叫ぶのを楽しむだけでもいいかと(邪笑)
 自分的に特に気に入ってるのはアリアンロッド・リプレイ銀の輪の封印 (富士見文庫―富士見ドラゴンブック)紅き月の巫女―ナイトウィザードリプレイ (ファミ通文庫)ダブルクロス・リプレイ 闇に降る雪―Queen of Blue (富士見DRAGON BOOK)、といったあたりです。さらに最後、「田中天」というプレイヤーがキャラを演じて参加しているのですが、この人のアドリブっぷりはすごいという言うかすさまじいというか無軌道すぎというかなんというか(笑) よくこんな人の張った伏線を解消できるなぁ。*2

*1:すいませんウソです。大抵その場面では「そうきたか?!」と大声で笑っています。

*2:実際は、破綻したお話は闇に葬ってうまく行ったお話だけを出版してるんだろーけどなー(ぼそそ)