本日のオススメ。

あれは、氏の「天使な小生意気」が連載終了した後のことでした。サンデーには氏の新連載の告知が載り、このタイトルと着物を着て髪を縛った青年(?)がさわやかな笑みを浮かべるイラストが描かれていました。
「そうか、今度は時代劇やるんだね」
 私はそう思ったものです。

 次週、私は心で叫びました。
 現  代  か  よ  ! 」
 

道士郎でござる 3 (少年サンデーコミックス)

道士郎でござる 3 (少年サンデーコミックス)

 と言うワケで、本日のオススメはこの「道士郎でござる 3 (少年サンデーコミックス)
 実は私は、この作者にはあんまり詳しくないです。「今日から俺は!! (1) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)」は名前は聞いたことはあるものの読んだことはなく、一応その後の「スピンナウト 1 (少年サンデーコミックス)」「天使な小生意気 (1) (少年サンデーコミックス)」は、連載時に一通り読んだのですが、まーその程度で。
 さてそれで近作は、まー設定としてはよくある話で。「『現代社会の常識』に染まっていない人間が、自分の『常識』にしたがって行動することで巻き起こるハプニング」、この構図はいろんなとこで見られます。最近で有名なのが賀東招二の「フルメタル・パニック! (01) (ドラゴンコミックス)」、ちょっと古いところで似たシチュエーションの春日光広著「ザ・サムライ 1 (ヤングジャンプコミックス)」なんてのがありますね。
 構図としては一般的なこのお話ですが、そこで少しこの作品が違うのはタイトルにもなっている主人公の道士郎君、「本物の日本人を育てたい」という父親に連れられてアメリカはネバダ州でネイティブアメリカンに囲まれて育ったとゆーからしょっぱなからナゾな設定w
 いや、本人も「自分は武士」と主張するしいつでも筋は通すし正々堂々としてるし正面から競い合うことは大好きだし正義感は強いし礼儀正しいしと確かにサムライっぽいのですが、そんな生い立ちだからか本人の資質なのか、いつも何かが微妙にずれてるカンジでw そんなわけでこの道士郎君、とにかく行動が読めない。
 そんな彼に見込まれて振り回される一般人代表の健助殿はたまったものじゃない、道士郎君の引き起こす騒動を、いつも涙を流しながらなんとか一般常識にそって収めようと骨を折る……というのもありがちな構図ですが、この健助殿もなかなかどうして一筋縄ではいきません。前述の通りに穏便に、常識的にと涙ながらに心の底から願ってはいるですが、他の同じ構図の作品の「常識人役」と違い、通すべきスジは――「俺なんでこんなことやってんだろう?」とガクガクブルブルと震えながらも――しっかりと通そうとする「男」だったりします。
 余談ですが自分としては、「凄い人がその能力を使って他の人には困難に思えることを軽々やってしまう」よりも、「フツーの人が事の可否は関係なしにやるべきことをなんとか成し遂げようとする」ほうが好きで、その意味でこの健助殿はまこと自分好みのキャラで。
 というかですな、この作者の作品は前述の通りのこれを含めて3作品しか読んでいないんですが……作者はいつも一貫して、「やるべきことをしっかりと成し遂げようとする」姿を書こうとしてるようですね。3作品それぞれに、主人公に「なんでも出来、それを自分で分かってる」キャラが配置されるのですが、そんな主人公に引っ張られるように、脇を固めるキャラたちも同じように「自分のやるべきことを成し遂げようと」します。
 たぶん、この作者の考える「カッコいい姿」というのが、私のそれと似通っているのでしょう。
 さてさて、なんだか微妙に堅苦しくなりましたが、そういうことはさておき、とにかく道士郎君の突飛な行動と先の読めない展開をお気楽に楽しむとよいかと。

P.S.学園ドラマかと思いきや2巻で退学させられるという前代未聞の展開を続ける本作品、現在連載中のお話はその後不良ばかりが集まる学校に転校した一行が、何で悪いことをしちゃいけないか分からない不良たちを諭すために絵本を作って読ませる話を展開中です。
  ・ ・ ・ ・ ・ 予 測 で き る か  こ ん な 展 開 !