本日の映画鑑賞。

 『SHINOBI』公式サイト
 http://www.shinobi-movie.com/index2.html
 と言うわけでツレと見ていました。『バジリスク~甲賀忍法帖~(1) (ヤンマガKCスペシャル)』から入ったにわかファンとはいえ山田風太郎は好きだし、中でもこの原作『甲賀忍法帖 (講談社ノベルス)』は今まで読んだ山風作品で一番面白いと思ったし、CGを使った派手なアクションモノは好きだし。*1
 と言うわけでこの作品ですが、結論から言うと自分的評価は65点、と言ったところでしょうか? 合格点はクリアしてるけど、「むー?」と言う部分もちらほら。
 つまらないわけじゃないです。多少のアラはあるにしろ、全体としてはよくまとまっていたし。ただ、原作のファンに無条件でオススメできる内容ではないですね。原作から変えて「よくなった」部分も「悪くなった」部分もありますが、総じて考えると悪くなった面の方が目立つカンジが。特に気になったのが、キャラ設定の変更と、それに伴う見せ場の変更。原作で本当にうまいなーと感じたのは、10人対10人という団体戦で話が進むごとに一人また一人と減っていくなかで、それながら全員に見せ場を作ってあったところです。それが、この映画だと5対5に減っている(のは、まぁ仕方ない事でしょう)のに、ワリを食って単なる引き立て役で退場してしまっているキャラがいるんですよねー。
 以下、その辺を踏まえたキャラ評価。

○朧……伊賀。原作のヒロインにして近作の主人公。原作からのイメージを残しつつ、原作よりももうちょっと意志が強くなったカンジ。この変更は賛否両論あるでしょうけど、私は好評価。破幻の瞳があんなに激しくなってるとわw

甲賀弦之介……甲賀。原作の主人公にして、近作のヒロイン(マテ オダギリジョー結構ダイコンちっくでしたが、さすが元仮面ライダーだけあって熱めの台詞は普通に聞けました。 瞳術が原作とは大分変わっていましたなー。公式サイトでもパンフでも明記しない秘匿事項らしいのでネタバレは避けますが。原作と同じくこの闘いに疑問を持ち否定的ですが、原作よりも「理想だけで実際には何もできないカンジ」になっちゃってます。

○筑摩小四郎……甲賀。原作では伊賀だったから、ある意味一番激しい変更受けた人。でも、原作で使ってた忍術を使ったわけでなし、つーか今作でも特別な忍術を使うわけでもナシ。原作伊賀側の他の誰かでもよかったんじゃないかなー? とはいえ、目立つ活躍も多く役回り的にはなかなかおいしいポジションでした。

○夜叉丸……伊賀。一番原作からの変更が少なく、なおかつ逆に活躍の場が増えてたイチバンこの映画の恩恵を受けた人。早々に退場してしまったとはいえ、さらに早い原作の速攻退場のあんまり感を考えればまさに大出世でしょうw それを考えれば、カノジョがいなくなったくらいなんでもないですよね?(ヒドイ)

○蛍火……伊賀。原作では上記夜叉丸の婚約者だったけど、近作ではまったく無関係。会話すらナシ。その代わり朧おねーさま大好きっ子な萌え無邪気キャラに。原作の、あどけなさそーでその中に秘めた残忍さ、みたいなキャラ造詣も見事だったから、このキャラ変更も賛否両論あるんじゃないかな。

○陽炎……甲賀。この人も原作からの変更は少ないね。原作だと欲情すると毒吐く設定だったのが、映画だと全年齢向けに任意になってたくらいでw あとは弦之介への想いが、原作ほど陰湿にはなってなかったくらいか。

薬師寺天膳……伊賀。原作だと「うっかり天膳」「ハラグロ天膳」とそのヘタレキャラっぷりが大人気(笑)だったりしましたが、今作だと腹黒さが消えてカッコよく?! その代わりキャラインパクト・不気味なまでの存在感は大分減っちゃったねー。

○蓑念鬼・如月左衛門・室賀豹馬……念鬼は伊賀、残り二人は甲賀。この人たちは映画化で割を食ってほとんど活躍できなかったかわいそうな方々。黙祷。

○朱絹……伊賀。映画は未登場の、原作10人衆の一人。でも、公式サイトのサイドストーリー見てたら名前が出ててちょっとニヤリ。

 やっぱりどうしても、原作と比べちゃいますねー。しかしまぁ、それはあくまで名作『甲賀忍法帖 (講談社ノベルス)』と対比されるからこその評価であり、逆に原作を知らない状態で見れば、もっと高評価になったかと。
 むしろ、原作を知らない人がコレを気に山風に興味を持つようになるにはいいかもです。

*1:その意味じゃファンタスティック・フォーも捨てがたかったけどねー。