本日のオススメ。

Fate/stay night
Fate/hollow ataraxiaTYPE-MOON公式
 ええ、エロゲーですとも
 さてとはいえ、このゲームはそれを前面に打ち出しているわけではなく、むしろ刺身のツマ。本筋自体は、まさに読み応えのある小説です。
 まずは『Fate/stay night』。
 ―――手に入れた者の願いをかなえるという聖杯を巡って争う、7人のマスターたち。彼らは聖杯を通して現世に召喚された過去の英霊達を使い魔『サーヴァント』とし、最後の一人となるまで戦う定めにある……!
 我らが主人公『衛宮士郎』は、本人の意思とは関係なく参戦するハメになるが、戦いを通じて彼はこの聖杯戦争の真実を知るうちに、自身と深い運命的な結びつきがあることを知る……とゆー典型的な運命的巻き込まれ型
 そんな彼のサーヴァントとして召喚された、見た目は少女ながらも卓越した技を振るう剣の英霊『セイバー』。凛とした気品のある少女ながら、実は負けず嫌いで可愛い物好きのハラペコキャラ
 同じくマスターとしてこの戦いに参戦しながら、不慣れな士郎に手を貸してくれる勝気だがここ一番で大ポカをかます宿命にある魔術師『遠坂凛』。
 その『遠坂凛』に召喚された、いつも皮肉ばかりを言いなぜだか主人公には特に反発する、誰もその正体を知らない謎の弓の英雄、『アーチャー』。
 さてさて他にも登場人物は多数おりますが、物語が進むに連れて登場する彼らとその正体は物語のキモにもなっておりますのでプレイしてのお楽しみ、とゆーことで……まずはこの物語、その展開自体が素晴らしい。物語が進むにつれて徐々に姿を現す他のサーヴァントたち。そのマスターたちの正体も謎ならば、そのサーヴァントそのものの正体も秘密*1。そういった謎が少しずつ明らかになっていく様はそれだけでも十分すぎほどにドキドキですが、戦いの推移自体もまさしく手に汗握る少年漫画の王道的モノ。
 そしてストーリーを語るならば、何よりその構成がすごい。いわゆるこの手のゲームの常として攻略するヒロインごとにルートが分岐しますし、ご多分に漏れずこのゲームも同じように分岐しますが、その分岐によって、物語はガラリと様相を変えます。ホラ、よくあるじゃないですか? 分岐した、といっても結局途中の展開は同じだとか配役をすこし代えただけだとか結局大筋は変わらないとか。でもこの物語は違います。本当に、展開がガラリと変わります。
 1週目を終わらせただけでも、重厚な物語でした。そしてそこで語られなかったいくつかの謎も残りました。
 そして2週目では、1週目の展開上の謎であり暴かれた部分は出し惜しみせずにガンガンネタ晴らししながら、1週目の経験からの予測などまったく役に立たない状況で新たな謎を軸にまったく違った物語が進みます。
 そして、さすがにもうネタはほとんど出し尽くしただろう、と思って最後の3週目を始めてみると……いままで全然出てこなかった登場人物が前面に出て、さらに違った物語が展開されます。
 そして、物語を彩る演出も凝っています。形式はいわゆるビジュアルノベルなのですが、画面の動かし方、背景の見せ方、キャラクターの立ち絵のバリエーションや組み合わせ、そういったものが実によく出来ていて、ヘタなアニメよりも迫力があり臨場感があります。
 コンプまでプレイ時間60時間といわれる大作ですが、その先の読めない展開と生き生きとしたキャラクターにその演出に引き込まれて、まったく飽きることなく最後までプレイできました。
 この物語はぜひとも、可能な限り予備知識のない状態で楽しんでいただきたいものです。


 そして、『Fate/hollow ataraxia』。つい先だって発売された、『Fate/stay night』のファンディスクです。こちらはファンディスクということで、前作では語られなかったキャラクターの一面や日常風景、物語の展開上どうしても出番は少なくなった一般人キャラのエピソードなどが、ミニゲームと共に収録されています。
 ただそれだけではなく、そういったエピソードの根幹に、一本の筋が仕込まれて立派な 「もう一つの聖杯戦争」としての物語としても成立しているのがニクいねこの。
 そんなこんなで、やっとこクリアしました。ファンディスクだというのに、侮れないボリュームでした。
 個人的には、前作でも日常風景やギャグシーンを好んで見直してた自分には、こちらの世界観の方が居心地がよすぎますw
 『Fate/stay night』をプレイした方、特に彼らの日常風景や食事シーンでのやり取りが気に入った方には、ぜひ遊んでもらいたいですね。
 逆に言うと、『Fate/stay night』をプレイしていないと楽しみは半減してしまいますが、まぁファンディスクという面から考えれば仕方のないことでしょう。
 なお、ファンディスクのやりすぎでキャラクターの印象が変わる恐れがあるので注意。
 ペンギン型カキ氷器に目が離せなくなったセイバーさんとか、焼き芋をほおばって目を輝かせるセイバーさんとか、中華まんで餌付けされるセイバーさんとか、呪いのマジカルステッキに乗っ取られて魔法少女になってしまう遠坂さんとか。


 まー、こんなカンジです。

*1:彼らは伝説上の人物なので、正体が知れるとそのまま戦い方や弱点まで知られてしまうのです