本日のオススメ。

足洗邸の住人たち。 (5) (Gum comics)

足洗邸の住人たち。 (5) (Gum comics)

 普段読んでない月刊誌掲載だけに忘れた頃に発売されるこのシリーズ、冷蔵庫買いに言ったついでに本屋にふらりと立ち寄ったら積んであったのでそそくさと購入。
 この人の作品、なんでか私の琴線に触れます。繋がってなさそうで繋がってる『いろは双紙 (GUM COMICS)』、『大復活祭 (Gum comics)』もオススメ。
 さてこの作品、20年前の「大召喚」によって魔界やら妖怪やらが現実の物となってしまった世界で、妖怪だらけのアパート「足洗邸」に引っ越してきた絵描きの「田村・福太郎」くん(通称福ちゃん)が中心となって語られるお話です。
 設定だけ見るとまぁありがちですが、こーゆーおおっぴらな世界観だけに、この福ちゃんがアパートを訪れるといきなり次のページで「管理人が猫マタでした。(中略)都会には魔物が住んでいるって本当だったんですね。ドキドキします」となりますので、世間一般の「実は妖怪でしたー」「ええー?!」と言う展開はナシ。このユルメな空気がお気に入りの理由のひとつでしょうか? なにせ第一話は、福ちゃんの入居した部屋の天井から恨めしげに見下ろす「天井下り」の少女がいて、話しかけてみたら意思の疎通が取れたので一晩語り明かす、で終わりますからw
 そうですね、とにかくこの人の作品は世界に漂う空気がいい。人間や悪魔や妖怪やなにやらがそれぞれに、ある者は妖怪としてあるがままに、ある者は人間に追加づこうと、またあるものは人間を興味深く観察しつつ、またある者は人としてあるがままに――そんな彼らが、とてもとても愛しくてたまらない気分になるってなもんです。
 っつーか、もともと自分は日記のタイトルに「ごたまぜ」なんていれるような「雑多な雰囲気」が好きなので、こーゆー「なんでもあり・全部のせ」な雰囲気はツボですし、とくにそういった生まれも育ちも違う連中がなんだかんだと仲良くやってるのは見ていて楽しいです。
 とはいえ5巻ともなるとそれなりにお話も進んで、足洗邸の怪異の根本原因の封印が解かれてそれを封じる・開放するでアクション風味が強くなって来ています。さりげなく謎の多かった主人公福ちゃんの謎も少しづつ明かされてきていて、そろそろクライマックスが近いのでしょうか? 作者様によるともともとは3巻に納める予定だったそうで、それよりも長く続いたのはファンとして嬉しい限りですが反面先が見えてきたのはすこし寂しい。
 でも、『いろは双紙 (GUM COMICS)』、『大復活祭 (Gum comics)』にコレと、同じ世界観で色々書いてきてくれた作者様ですし、この後もまた彼らに会うことはできるでしょう、きっと。
 まぁまずは、「足洗邸」の顛末を楽しみに見守りましょうかね、と。